天網恢恢疎にして漏らさず/天網恢恢疎にして失わず

【読み方:てんもうかいかいそにしてもらさず、分類:故事】

天網恢恢疎にして漏らさずは、「天網恢恢疎にして失わず」とも言い、天道(天の道理)は厳正で、悪事を働いた者には必ずその報い(天罰)があることをいいます。これは、悪人や悪事を逃さないように天が張り巡らした網である「天網」、大きくて広いさまである「恢恢」、すき間が多いさまである「疎」がキーワードとなったもので、中国の「老子」の中の「天網恢恢、疎ニシテ失ワズ」や「魏書」の中の「天網恢恢、疎ニシテ漏ラサズ」とあるのに由来するものです。

その意味は、天の張る網は、広くて一見目が粗いように見えますが、実際は悪人を網の目から漏らすことはなく、悪事を行えば必ず捕らえられ、いつか天罰をこうむることを示唆しています。なお、本用語と似たようなものとして、「天道様はお見通し」や「神は見通し」、「天罰覿面」などもあります。

※老子とは、中国の戦国時代の思想書で、道を宇宙の本体とし、道に則った無為自然や謙遜柔弱などの処世哲学を説いている。
※魏書とは、中国の二十四史の一つで、後魏の歴史を記した書(史書)。