鳴く蝉よりも鳴かぬ蛍が身を焦がす

【読み方:なくせみよりもなかぬほたるがみをこがす、分類:諺】

鳴く蝉よりも鳴かぬ蛍が身を焦がすは、単に「鳴かぬ蛍が身を焦がす」とも言い、あれこれ口に出す者より、何も言わない者の方が情が深いという喩えをいいます。これは、蝉はよく鳴くが光らないのに対して、鳴くことのできない蛍は身を焦がさんばかりに光っていることに由来し、むやみに口に出して言う者より、言わない者の方が、かえって心の思いは切実であることを述べたものです。

なお、江戸時代末期に初代の都々逸坊扇歌(1804年-1852年)によって大成された口語による定型詩である都々逸(どどいつ)に、「恋に焦がれて鳴く蝉よりも鳴かぬ蛍が身を焦がす」というものがあります。