諸行無常

【読み方:しょぎょうむじょう、分類:四字熟語】

諸行無常は、仏教の基本的教義である三法印(諸行無常、諸法無我、涅槃寂静)の一つで、この世に存在する全てのものは、姿も本質も同じ状態を保つことなく常に移り変わっていき(常に変化し生滅して)、永久不変なものなど何もないことをいいます。

これは、因縁によって生じたこの世の一切の事物を意味する「諸行」と、物は生滅流転し、永遠に変わらないものは一つもないことを意味する「無常」からなる用語で、あらゆるものは刹那(極めて短い時間)の間にも変化をくり返していることを意味します。また、涅槃経にある「諸行無常 是生滅法 生滅滅已 寂滅爲樂」のことを「諸行無常偈」といいます。

一般に諸行無常は、「人生のはかなさ」を表すものであり、世の中の移り変わりの激しさや人の死などを想う時に用いられ、鎌倉時代の軍記物語である「平家物語」の冒頭では、「祇園精舎の鐘の声、諸行無常の響きあり、沙羅双樹の花の色、盛者必衰の理をあらわす」と記されています。また、「いろは歌」にある「いろはにほへとちりぬるを」は、「諸行無常」を表すそうです。

なお、本用語と似たようなものとして、「万物流転」や「無常迅速」、「有為転変は世の習い」などもあります。

※因縁とは、仏教において、物事が生じる直接の力である「因」と、それを助ける間接の条件である「縁」を指し、全ての物事はこの二つの働きによって起こるとされている。

※諸行無常を「諸行無上」や「諸行無情」、「所業無常」などと書くのは誤り。