氷川丸の写真

氷川丸とは、日本郵船が1930年(昭和5年)にシアトル航路用に竣工させた貨客船をいいます。これは、当時の最新鋭大型ディーゼル機関を搭載し、水密区画配置など先進の安全性を誇り、また一等客室にはフランス人デザイナーによるアールデコ様式の内装が施され、太平洋戦争前には、秩父宮ご夫妻、チャーリー・チャップリンをはじめ、約1万人が乗船しました(戦時中は、政府徴用船や海軍特設病院船となる)。

戦後は、病院船のまま復員輸送にしばらく従事し、1947年に復元工事で貨客船に戻り、国内航路定期船の後に外航不定期船、1951年からはシアトル・ニューヨークおよび欧州航路定期船に就航しました。また、1953年には内装をアメリカンスタイルに改装してシアトル航路に復帰し、数多くの乗客を輸送し活躍しました。そして、1960年に船齢が30年に達し、同年10月にシアトル、バンクーバーから神戸に寄港し、係留地である横浜への回航を最後に第一線を退きました(太平洋横断は254回、船客数は2万5千余名)。

なお、引退後は、係留地である横浜(山下公園)で多くの人々に親しまれ、2003年には横浜市指定有形文化財にも指定されました(現在は、博物館船として公開)。

建造所 横浜船渠(現:三菱重工業)
経歴 竣工:1930年4月
就役:1930年5月、除籍:1960年12月
全長 163.3メートル
総トン数 11,622トン
航海速力 18.38ノット

〇山下公園で撮影

氷川丸