体と身体の違い
「からだ」という言葉は、物心ついた頃から馴染み深いものであり、一般的には「体」と「身体」の二つの漢字が使われています。現在、常用漢字では、体を「からだ」、身体を「しんたい」と読むことになっていますが、日常的には曖昧に使われることが多いです。
一般に「体」と「身体」は、人の頭や胴、手足など肉体全部を指すものですが、一方でニュアンス面では異なる部分もあります。ここでは、「体と身体の違い」について、簡単にまとめてみました。
目次:コンテンツ構成
体について
体(からだ)は、人や動物の頭や胴、手足などの全て(五体)をまとめていう用語です。これは、五体を意味するほかに、頭や手足を除いた胴、体格、骨格、健康状態、体力、肉体なども意味します。また、「心と体」と言うように、実体二元論においては、人の体は心(精神)に対する物質に相当します。
<体の用例>
・軽快に体を動かした
・ベットに体を横たえる
・長年の重労働で体を壊した
・疲れた体が糖分を欲している
・大人の女性は肌や体の悩みが多い
・体を動かすことで心身ともに健康になれる
・筋トレをすると体のラインにくびれも生じる
身体について
身体(しんたい)は、人のからだや肉体、体躯のことを意味します。これは、「体」と同様、人の頭や胴、手足など肉体全部を指すものですが、一方で人の持つ心的側面を担う部分としての「心(精神)」と相関的に、生理的・物理的側面を担うものとも考えられています。すなわち、身体は、心を含む、人としての主体を指すものとも捉えられます。
<身体の用例>
・健全なる精神は健全なる身体に宿る
・身体的健康と精神的健康の経年変化を明らかにする
・公判廷においては、被告人の身体を拘束してはならない
・身体の治療中によく起こる精神症状として、不安や抑うつ、せん妄などがある
・障害者手帳には、身体障害者手帳、療育手帳、精神障害者保健福祉手帳の3種類がある
体と身体の違いについて
最後に「体」と「身体」の違いをざっくりとまとめると、以下のようになります。
◎日常的には、どちらも「からだ」と読むことがあるが、常用漢字では、体を「からだ」、身体を「しんたい」と読むことになっている。
◎体と身体は、どちらも物質としの肉体を指すが、身体はそれ以外に、精神と相関的に、生理的・物理的側面を担うものとも考えられている。
◎体は人以外の生物に対しても使われるが、身体は人にしか使われない。
◎「心と体」や「精神と身体」というように、対になる用語が異なっている。