飲むと呑むの違い
「のむ」と読む漢字には「飲む」と「呑む」の二つがあり、国語辞書では、同じ「のむ」の項目に記載されています。また、「飲」が常用漢字なのに対して、「呑」は表外漢字(常用漢字以外の漢字)であり、日常的には「飲む」の方がよく使われています。
ここでは、意外と知っているようでいて知らない、「飲むと呑むの違い」について、簡単にまとめてみました。
目次:コンテンツ構成
「のむ」の意味
のむは、飲食物を口から体内に送り込む、吸い込む、圧倒する、受け入れる、外に出さないで抑えるといった意味があります。また、それぞれの意味に合わせて、「飲む」と「呑む」の漢字が使い分けられたり、ひらがなで表記されたりします。
「飲む」の用法
飲むは、液体や小さな固体など、口に入れたものを噛まずに体内に送りこむ言い回し(のむの漢字表記)として用いられます。日常的には、水やお茶、コーヒー、牛乳、ジュース、お酒、薬、サプリメントなどで使われ、また漢字の「飲(いん)」には、水や酒を飲む、酒宴といった意味があります。
・このお酒は、冷やして飲むことがお勧め
・熱が出たので、風邪薬を飲んですぐに寝た
・美味しいお茶やコーヒーを飲むとほっとする
「呑む」の用法
呑むは、「固唾を呑む」や「涙を呑む」、「雰囲気に呑まれる」など、比喩的・抽象的な言い回し(のむの漢字表記)として主に用いられます。また、漢字の「呑(どん)」には、のむ、のみこむ、外に出ないようにする、軽んじる、取り込むといった意味があります。
・蛇は一寸にして人を呑む
・神秘的な景観に思わず息を呑む
・簡単に要求を呑むわけにはいかない
「飲む」と「呑む」の違い
「飲む」と「呑む」は、どちらも辞書では同じ項目(のむ)となっていますが、一方で以下のような違いがあります。
◎「飲む」は常用漢字であるのに対して、「呑む」は常用漢字ではない。
◎「飲む」は、液体や小さな固体など、口に入れたものを噛まずに体内に送りこむ場合に用いられるのに対して、呑むは、比喩的・抽象的な言い回しの場合に用いられる。