断腸の思い

【読み方:だんちょうのおもい、分類:故事】

断腸の思いは、腸(はらわた)がちぎれるほど、悲しくつらい思いをいいます。これは、中国の南朝宋の劉義慶が編纂した後漢末から東晋までの士大夫(著名人)の逸話を記した世説新語(せせつしんご)の「黜免(ちゅつめん)」の故事に由来するもので、はなはだしく悲しみ苦しむことを意味します。

その昔、中国において、晋の武将・桓温(かんおん)が舟で三峡を渡った時、従者が捕らえた子猿を追って母猿が百里あまり岸伝いについてきて、やっと船に飛び移り、そのまま息絶えました。そして、死んだ母猿の腹を裂いてみると腸がずたずたに断ち切れており、そこから「断腸」という故事が出来たそうです。

なお、本用語と似たようなものとして、「断腸の念」や「悲痛の思い」、「身を切る思い」、「九回の腸」、「九腸寸断」などもあります。

<本用語の使用例>

・両親の心中を察すると断腸の思いだが、これまでできることは全てやった
・地域住民の心の拠り所として代々守られてきた分校が閉校するのは、誠に断腸の思いである
・震災で避難所生活を強いられ、家族同然のペットや家畜を断腸の思いで自宅に置いてきた被災者は少なくない