情けは人の為ならず
【読み方:なさけはひとのためならず、分類:諺】
情けは人の為ならずは、人には親切にせよという教えで、情けを人にかけておけば(人に親切にすれば)、その相手のためになるだけでなく、やがては良い報いとなって自分に戻ってくることをいいます。これは、本文言中の「人の為ならず」は、「人の為なり(古語の断定形で「人のためである」の意味)」の全体を打ち消す「ず」で否定しているため、「人のためであるということではない」となり、すなわち「人のためばかりではない」という意味になります。
一般に本文言は、親切にするのはその人のためにならないの意で用いられることがありますが、これは完全な間違いです。ちなみに、文化庁の2010年度の「国語に関する世論調査」では、本来の意味の「人に情けを掛けておくと、巡り巡って結局は自分のためになる」で使う人が45.8%、間違った意味の「人に情けを掛けて助けてやることは、結局はその人のためにならない」で使う人が45.7%という結果が出ており、結構勘違いしている人が多いようです。