労使折半
【読み方:ろうしせっぱん、分類:概念】
労使折半は、社会保険料について、事業主(企業等)と労働者(個人)が半々ずつ負担することをいいます。これは、日本では、1922年に成立した健康保険法によって、初めて社会保険制度が導入されて以来、保険料を労使で折半することが原則となっているもので、現在、医療保険・介護保険・厚生年金保険の保険料は原則として労使で折半して納めることになっています。また、雇用保険の保険料については、失業等給付に係る分は労使折半ですが、雇用保険二事業(雇用安定事業と能力開発事業)に係る分は事業主のみが負担することになっており、また労災保険の保険料については、全て事業主が負担します。
一般に労使折半は、労働者にとっては大きな負担軽減となりメリットがある一方で、事業主にとっては給料以外のコスト増となりデメリットがありますが、現在、労使折半における事業主負担の根拠として、一般的な学説では以下の点が挙げられています。
<事業主負担の根拠>
・社会保険の存在は、労働者の生産性向上につながり、事業主にも利益をもたらす。
・労災事故や失業は事業主の責任で発生し、傷病・障害や退職についても労働が関係することから、事業主がその責任を負うべきである。
・事業主負担は、事業主による労働者の生活援助が法的に強制されたものであり、社会保障上における社会連帯原理として捉えることができる。
・法制定以前から、事業主によっては独自の福利厚生を行っており、既に事業主負担はある程度定着していた。