他山の石

【読み方:たざんのいし、分類:故事】

他山の石は、自分の人格を磨くのに役立つ材料や、自分の修養の助けとなる他人の誤った言行のことをいいます。これは、中国の最古の詩篇である「詩経(小雅・鶴鳴)」の中の「他山の石、以て玉を攻むべし」とあるのに基づくものです。

元々は、「よその山から出た粗悪な石でも、それを砥石に利用すれば、自分の玉を磨くのに役立つ」という意味でしたが、それが転じて、他人のどんな言動でも、たとえそれが誤っていたり劣っていたりした場合でも、自分の知徳を磨いたり、反省の材料としたりすることができるという喩えになっています。

一般に本用語は、他人の良くない言行のことをいうものであり、「他人の良い言行は自分の行いの手本となる」といった意味ではないので注意のこと。また、日常的には、「友人の失敗を他山の石とする」というように使われます。

なお、本用語と似たようなものとして、「人こそ人の鏡」や「人の振り見て我が振り直せ」、「殷鑑遠からず」、「前車の覆るは後車の戒め」、「反面教師」などもあります。