色即是空、空即是色
【読み方:しきそくぜくうくうそくぜしき、分類:故事】
色即是空、空即是色は、物質的なものはそのまま実体性を持たず、また実体性を持たないままで、しかも物質的なものとして存在することをいいます。
これは、大乗仏教の空・般若思想を説いた経典の一つの「般若心経(はんにゃしんぎょう)」の中にある有名な言葉で、この世にある全ての(物質的な)もの(色)は、因と縁によって存在しているだけで、固有の本質を持っていない(空)という「色即是空」と、一切の存在は現象であって空であるが、その空であることが体得されると、その現象としての存在がそのまま実在であると分かるという「空即是色」の二つの概念を述べたものです。
一般に色即是空、空即是色は、般若心経の基本である「空の思想」を表現した非常に奥が深い言葉で、前半(色即是空)は、あらゆるものを空と見ることで人間の煩悩や妄想を取り除くことを狙って否定的に表現しているのに対して、後半(空即是色)は、執着のない目で見た時、あらゆるものが各々の働きを持って生き生きと現象として存在していることを肯定的に表現しています。