覆水盆に返らず
【読み方:ふくすいぼんにかえらず、分類:故事】
覆水盆に返らずは、一度別れた夫婦の仲は元通りにならないことや、一度起きてしまった(してしまった)ことは決して元に戻すことは出来ないことをいいます。これは、中国の前漢のことを記した歴史書「漢書(朱買臣伝)」や後秦の王嘉が撰した志怪小説集「拾遺記」などの故事に由来するもので、また英語にも似たような意味の諺として、「It is no use crying over spilt milk.(こぼれたミルクについて泣いても無駄だ)」があります。
その昔、周の国に呂尚(りょしょう)と馬氏(ばし)という夫婦がいました。若い頃、夫の呂尚は貧乏なのに読書(勉強)ばかりして働かなかったため、妻の馬氏は愛想を尽かし離縁して出ていきました。やがて、呂尚は王に見出され、大出世して「太公望」と呼ばれるようになると、馬氏は復縁を求めてきました。
これに対して、呂尚は盆の水をこぼし、「この水を元に戻せたら、復縁の求めに応じよう」と馬氏に言って、復縁をはっきりと断った(拒絶した)そうです。