渇に臨みて井を穿つ/渇して井を穿つ

【読み方:かつにのぞみていをうがつ、分類:故事】

渇に臨みて井を穿つは、「渇して井を穿つ」や「渇に臨みて井を掘る」とも言い、必要に迫られてから慌てて準備をしても間に合わないことや時機を失することの喩えをいいます。これは、中国の最古の医書とされる「素問」において、「乱已に成りて而る後に之を治む。讐タトへば猶ほ渇して井を穿ち、闘ひて錐を鋳るが如し」とあり、喉が渇いてから井戸を掘っても手遅れだという故事に由来します。

一般に本用語は、時機を失することの喩えとして使われ、また似たようなものとして、「戦を見て矢を矧ぐ」や「飢えに臨みて苗を植う」、「溺るるに及んで船を呼ぶ」、「敵を見て矢を矧ぐ」、「泥棒を捕らえて縄を綯う」などもあります。一方で、その対義語には、「転ばぬ先の杖」や「濡れぬ先の傘」、「備えあれば憂いなし」 などがあります。