人間万事塞翁が馬
【読み方:じんかんばんじさいおうがうま、分類:故事】
人間万事塞翁が馬は、有名な故事成句の一つで、「塞翁が馬」や「塞翁之馬」とも略され、人生(人間)の禍福(災難と幸福、不運と幸運)は転々(変転)として予測できないことの喩えをいいます。
これは、中国の「淮南子(えなんじ)」の「人間訓」の故事に由来し、人生における幸・不幸は予測しがたいものであり、時として幸せが不幸に、不幸が幸せにいつ転じるか分からないのだから、安易に喜んだり悲しんだりすべきではないという教訓となっています。
なお、「淮南子」とは、前漢の武帝の頃、淮南王の劉安が文人・学者を集めて編纂させた思想書で、道家の「道」の思想を中核として、彼らの保有する該博な知識をあまねく結集して編纂したもので、日本へもかなり古い時代に伝わっています。
<人間万事塞翁が馬の故事>
その昔、中国の北方の塞(とりで)近くに住む、占いの巧みな老人(塞翁)の馬が胡(こ)の国に逃げ、人々が慰めに行くと、塞翁は「そのうちに福が来る」と言った。
数カ月後、その逃げた馬は立派な駿馬(しゅんめ)を連れて戻ってきたので、人々がお祝いに行くと、塞翁は「これは災いになるだろう」と言った。
ある日、塞翁の息子が駿馬に乗って遊んでいたら、落馬して足の骨を折ってしまったので、人々がお見舞いに行くと、塞翁は「これは幸いになるだろう」と言った。
そして、一年後、胡の国(隣国)との戦乱が起こり、若者たちはほとんど戦死したが、塞翁の息子は足を骨折していたため兵役を免れて命が助かり、言葉通り「災いが幸いに転じる」ことになった。