蟋蟀在戸
【読み方:きりぎりすとにあり、分類:七十二候】
蟋蟀在戸は、七十二候の一つで、二十四節気の寒露の末候にあたるものをいいます。これは、二十四節気の第17(9月節)で、10月8日頃、およびこの日から霜降(10月23日頃)までの期間を指す「寒露」の末候(節気を約5日で分けたもののうち第3のもの)であり、日本の略本暦では「蟋蟀(こおろぎ)が戸の辺りで鳴く」という意味となっています。また、発祥地の中国の宣明暦では「菊有黄華」と言い、その意味は「菊の花が咲き出す」となっています。
一般に七十二候とは、二十四節気の各節気を初候・次候(二候)・末候(三候)の三つに分けたもので、気象の動きや動植物の変化を知らせる名称が各々に付けられており、現在では、1874年(明治7年)の略本暦に掲載されたものが主に使われています。その中で秋の季節の「寒露」については、初候が「鴻雁来(雁が飛来し始める)」、次候が「菊花開(菊の花が咲く)」、末候が「蟋蟀在戸(蟋蟀が戸の辺りで鳴く)」となっています。
<二十四節気を三区分した七十二候一覧>
・立春-東風解凍、黄鶯睍睆、魚上氷
・雨水-土脉潤起、霞始靆、草木萠動
・啓蟄-蟄虫啓戸、桃始笑、菜虫化蝶
・春分-雀始巣、桜始開、雷乃発声
・清明-玄鳥至、鴻雁北、虹始見
・穀雨-葭始生、霜止出苗、牡丹華
・立夏-蛙始鳴、蚯蚓出、竹笋生
・小満-蚕起食桑、紅花栄、麦秋至
・芒種-螳螂生、腐草為蛍、梅子黄
・夏至-乃東枯、菖蒲華、半夏生
・小暑-温風至、蓮始開、鷹乃学習
・大暑-桐始結花、土潤溽暑、大雨時行
・立秋-涼風至、寒蝉鳴、蒙霧升降
・処暑-綿柎開、天地始粛、禾乃登
・白露-草露白、鶺鴒鳴、玄鳥去
・秋分-雷乃収声、蟄虫坏戸、水始涸
・寒露-鴻雁来、菊花開、蟋蟀在戸
・霜降-霜始降、霎時施、楓蔦黄
・立冬-山茶始開、地始凍、金盞香
・小雪-虹蔵不見、朔風払葉、橘始黄
・大雪-閉塞成冬、熊蟄穴、鱖魚群
・冬至-乃東生、麋角解、雪下出麦
・小寒-芹乃栄、水泉動、雉始雊
・大寒-款冬華、水沢腹堅、鶏始乳